種牡蠣を養殖する方法は2つある【天然採苗と人工採苗について解説】

牡蠣養殖を始めたい人

種牡蠣ってどうやって養殖するの?

自分たちにもできたりするのかな?

こんな疑問にお答えします。

✔︎本記事の内容

  • 種牡蠣を養殖する方法は2つある
  • 種牡蠣の養殖と天然の違いについて
  • 種牡蠣の養殖を天然にこだわる理由

✔︎本記事の信頼性

  • 大手水産会社に7年勤務
  • 種牡蠣販売会社を経営
  • 岩牡蠣はAmazonで販売中

加えて、提携している岩牡蠣漁師さんにアドバイスをいただきましたので信頼性はあるかと思います。

種牡蠣を養殖する方法は2つある

  • 方法①:天然採苗
  • 方法②:人工採苗

方法①:天然採苗について

海で生まれ育った牡蠣の赤ちゃんを採る(採苗)ことを指します。

✔︎天然採苗の手順

  • 手順①:ホタテの貝殻を海中に設置
  • 手順②:7~9月に岩牡蠣が産卵する
  • 手順③:貝殻に幼生が付いたら収穫

一般的にはホタテ貝を使うのが主流ですが、大分県の取り組みによるとペットボトルや合成樹脂を使った採苗でも成果が出ているようです。
≫お手軽な天然採苗を紹介した記事はこちら

方法②:人工採苗について

室内で人工的に牡蠣の赤ちゃんを産み育て、採取することをいいます。

いわゆる「温室育ち」ですね。

✔︎人工採苗の手順

  • 手順①:親牡蠣を水槽で育てる
  • 手順②:人工授精で産卵させる
  • 手順③:稚貝になるまで育てる

親牡蠣に選ばれるのは「シングルシード方式」といわれる養殖方法で育てられた牡蠣です。

牡蠣養殖を始めたい人

シングルシードとは?

牡蠣をカゴに入れて養殖する方法です。他の養殖方法と比べて身が大きくなるのが特徴。

つまり、選ばれた「優秀な牡蠣」というわけですね。

優秀な遺伝子を持った牡蠣からは優秀な遺伝子を引き継いが赤ちゃんが生まれるはず。

より質の高い牡蠣を生産するためにこの方法が取られています。

種牡蠣から岩牡蠣になるまで

ここからは種牡蠣が岩牡蠣になるまでを解説します。

  • ①:採苗(解説済み)
  • ②:抑制
  • ③:いかだ養殖
  • ④:収穫

ここまで説明した岩牡蠣の赤ちゃんになるまでが【採苗】といわれる段階です。

✔︎抑制

慣らし期間のことです。

人工採苗によって生まれた種牡蠣は、海に放流されて間もないため環境に慣れていません。

干潟(流れがほとんどない場所)に移され、自然界に慣れるためにしばらく放置されます。

天然物にはこの抑制がありません。もともと天然の海で育ってますからね。

✔︎いかだ養殖

抑制が終わった牡蠣は沖合のいかだに移されます。

40枚1組(垂下連)でいかだから海中に吊るされ、1~2年かけて大きな牡蠣に成長していきます。

✔︎収穫

1~2年経って立派に育ったら収穫です。岩牡蠣の旬は5月中旬から8月いっぱいまで。

鮮度を保つため、注文が入ってから沖合の岩牡蠣を収穫しています。

その後12時間かけて生食できるように管理。最後にスチロールに入れられ、冷蔵便でお客様の手元に届けています。
≫岩牡蠣の詳しい養殖方法はこちら

種牡蠣の養殖と天然の違い

種牡蠣には、養殖と天然があるとお話ししてきました。

次はその違いを具体的にみていきましょう。

違いその①:質

  • 養殖 > 天然

養殖(人工採苗)の方が「質が良い」とされています。

✔︎理由:サラブレッドだから

競走馬と同じで、良い牡蠣(大きくて美味しい)からは優秀になる可能性が高い種牡蠣が生まれます。

人工採苗で育てられる種牡蠣はみなポテンシャルが高いんです。

まさに牡蠣業界のサラブレッド。

天然物は当たり外れがあるため、質では養殖に軍配が上がります。

違いその②:量

  • 養殖 < 天然

こちらは天然ものが優秀です。

✔︎理由:環境が変わらないから死なない

種牡蠣が岩牡蠣に成長するまでに死んでしまうことを【えい死】といいます。

環境に慣れる必要がある人工採苗の養殖ものは、天然ものに比べるとどうしても多くえい死してしまいます。

天然ものは赤ちゃんの時から自然育ち、荒波にもまれているので強いんです。

✔︎種牡蠣の安定供給という点では養殖かも

しかしながら、種牡蠣の安定供給の”量”となると養殖かもしれません。

天然はどうしても天候に左右されるんですよ。

例えば台風。

もろに直撃して種牡蠣の施設そのものが海に流されちゃいました!ということもあります。

その点では安定供給できる養殖が良いかもしれません。

違いその③:額

  • 養殖 > 天然

温室育ちの人工採苗種牡蠣は費用も割高。ですからできあがった種牡蠣の価格は天然ものに比べると割高です。

というわけでどちらも一長一短のメリットデメリットがあります。
≫岩牡蠣の天然と養殖の違いについてはこちら

以上が種牡蠣の養殖についての解説でした。簡単にまとめると次の通り。

  • 種牡蠣の養殖方法には2つ方法がある
  • 天然採苗は自然の中で育つので強い
  • 人工採苗は身が大きい上に安定供給できる
  • えい死の数で見ると「天然<養殖」である

こんな感じですね。

最後にうちで取り扱っている種牡蠣が天然にこだわっている理由を紹介します。

種牡蠣の養殖を天然にこだわる理由

種牡蠣が多く取れるから

  • 人工採苗の種牡蠣の数:10/枚
  • 弊社の卸す種牡蠣の数:20~30~/枚

およそ倍の数の種牡蠣が1枚の貝にくっついてます。

✔︎宮崎県日向市細島は天然岩牡蠣の宝庫

種牡蠣が多く採れる理由のひとつに、天然岩牡蠣の数が関係していると考えられています。

種牡蠣の産地は全国でも珍しく、その中でもここまで1枚の帆立貝に種牡蠣がくっつくのはレアケースです。

  • 天然種牡蠣
  • しかも良質

これが天然ものにこだわる最大の理由です。

身の大きさは漁場、手間隙、時間による

✔︎漁場

良質で豊富なプランクトンが生息する海で岩牡蠣は育ちます。

いくら種牡蠣が良質なものであっても、プランクトンの量が少ないようでは育ちません。

✔︎手間暇

実は岩牡蠣を大きく育てる方法は他にもあります。

耳吊り式養殖という方法ですが、手間がかかるのでやっているところは少ないです。

しかし、実際やっているところの牡蠣は超特大。

1個あたり〇〇g越えで一口では食べられないほどのサイズ感です。

✔︎時間

最後は時間です。

  • 1年もの < 2年もの

岩牡蠣は年数に応じて大きくなるので、時間をかければその分味が大きくなる割合が高くなってきます。

確かに時間軸での成長速度でいえば人工採苗の種牡蠣が優秀なのかもしれません。

しかしそこにこだわらないでいられるような漁場があれば、ここもクリアできると考えています。

種牡蠣の良し悪しは漁獲量で決まる

結局、漁獲量が正義です。

どれだけ優秀な人工採苗の種牡蠣でも、育たなければ意味がありません。

  • 安定的に育つ漁場
  • 安定的に育った実績

この2つがあるのなら、天然の種牡蠣を使うのが正解だと思います。

ですからうちでは天然の種牡蠣にこだわり、供給させていただいております。

以上です。気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
≫お問い合わせはこちら(お気軽にどうぞ)
≫もっと詳しい弊社の種牡蠣についてはこちら
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